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[コメント]
 おなじみI'veサウンド、家族計画のOP曲からです。本編をプレイした人はもちろん、プレイしていなくとも、この曲に籠められているストーリー性と前向きなパワーを感じることができると思います。なお、二次創作は苦手ですが、歌と本編とをリンクさせて書いてみました。末莉に幸あれ、誉あれ。

家族計画~絆の響~ (CCCD)
家族計画~絆の響~

[収録]
家族計画~絆の響
「家族計画(PC)」

[Song]
KOTOKO

[Lyrics]
モモ、高瀬一矢

[試聴]
D.O.ホームページ

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書き物(目次)>>
同じ空の下で

笑ってる。
おにーさんが笑ってる。
大好きなおにーさんの笑顔。

帰ってきた。
おにーさんが帰ってきた。
大好きなおにーさんの帰宅。


「おかえりなさいっ!!」

布団をはね上げ、大きく両手を広げて迎える。
……が、その手は宙をむなしく掻いただけだった。
そこは見慣れた自分の部屋。
窓の外ではスズメの愛らしい鳴声が響いている。

「なーんだ、夢か。てへへ」

悔しいので、枕を代わりに抱きしめてみた。
ほんの少し、愛しい人の残り香がした……気がした。




「末莉ちゃん、今日のご予定は?」

母・真純がご飯を盛った茶碗を手渡し、訊く。

「そうですねー、今日はお花を買いにいこうと思います」
「花……ううむ、女の子らしくて実にイイ!! さしずめ末莉は野原に咲き乱れる『オオイヌノフグリ』と言ったところか……」
「お父さん、それはちょっと……」
「? オオイヌノフグリ……とは、どんな花なのでしょう?」
「お子様は知らなくていいことよ」

正面に座っている長女・青葉がぼそりと呟く。
父・寛は感慨深げにウンウンと頷いたあと、朝刊に目を落とした。
真純はあらあらと照れくさそうに苦笑している。
次女・準はスティックタイプの栄養食をモソモソと口に運んでいた。
長男・司がいない今、つっこみ役が不在なのは致し方ない。

結局、四女・末莉は「オオイヌノフグリ」とはどういう花なのか、それ以上聞けずにいた。


「はぐはぐはぐっ……ぷはー。あれ、みんなどしたの?」

三女・春花が3杯目の茶碗を空にしたとき、朝の食卓が静寂で満たされていることにようやく気付く。
春花と目が合った末莉はしばし逡巡したあと、口を開いた。

「お、オオイヌノフグリを巡る、家族間心的抗争と言いますか……」
「オオイヌノフグリ? なんじゃそりゃ?」
「わ、私にも何がなんだか……」
「なんだ、訊きたいのかね? 知りたいのかね? んー?」

眼鏡・中央部を中指で持ち上げる寛。

「えーっと、訊きたいような、なんだか訊きたくないような……」
「訊きたい、訊きたい!!」
「そうか、ならば耳をかっぽじってよぅく訊けいぃ!!」
「……タマよ」

青葉が何かを呟いた。
一斉に皆の視線が集中する。
青葉は少し頬を赤らめた。

「だから、大型犬のキン○マってことよ。お分かり?」
「No! Noooo thank youだぞ、青葉よ!! 私はお前に羞恥プレイを命じた覚えなどない!!」
「……(ジロリ)」
「分かった。ならば『キャン玉』と10回言いたまえ。それで水に流そうではないか」
「えーい、うるさい!」

エスカレートしつつある口論。

「結局、『オオイヌノフグリ』ってなんなの?」
「私は大きい犬さんのキャン玉らしいです」

「?」の消えない春花の問いに、えぐえぐと嗚咽をもらしながら末莉が答える。
真純は慌ててフォローした。

「えーと、お父さんは末莉ちゃんがとっても可愛いということを言いたかったんだと思うわよ?」
「そうはとても思えませ〜ん」
「あ、やっぱり」

……フォローになってなかった。

「やっぱり……ってなんですか!? お母さんもひどいです〜」
「きゃはははは、キャン玉キャン玉ー!! 末莉はキャン玉ー!!」
「ふえ〜ん」
「……ふぅ」

準の大きなため息。
今朝の高屋敷家の食卓は至っていつもの通りだった。




春花に借りた自転車に乗って、末莉は近くの河原まで来ていた。
淡い陽気と春風が末莉の小さな体を包み込む。

「おにーさん……」

司の忘れていった腕時計。
ちょうど昼時をさしている。


見上げれば、空は青。


そして地面には末莉の髪と同じ青色をした小さな花々。
末莉はそれが「オオイヌノフグリ」であることを知らない。


オオイヌノフグリの花言葉は「誠実」。
また、別の名を「星の瞳」という。


……末莉の目には司との未来が確かに映っていた。


[他のI'veの曲]
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「I ve」のGirls Compilationの第6弾。オリジナル(Collective)1曲を含む全14曲。
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