「耳を澄ませてみて……ゆきうたが聞こえるよ……」
小さな頃、ウサギが死んだ。主人公と妹は生き返るように伝説のモミの木の下で祈った。その木の伝説は「何かを叶える代わりに何か大事なものを奪う」というもの。それでも構わず祈った。けれど、次の日に目にしたのは冷たくなったウサギ。主人公は思った。奇跡など、ありはしないのだと……。
シナリオは盲目の少女、由紀のシナリオが飛びぬけてます。他キャラのシナリオの完成度もこのレベルであれば、名作になり得たでしょう。少し尻つぼみなシナリオがあるのは気になるものの、全体的に綺麗にまとまっています。
Hシーンでは脱童貞の割にはあれこれと知識と注文がある主人公(笑)や、自らをバカと豪語する淳一、キャラにクセがあるものの思考パターンが分かると面白い菜乃や雪那など、キャラクターはなかなかに魅力的。フミオ氏による原画パワーもあるでしょうね。
音楽はあくまでBGMとしての役割を果たし、システムは必要なものが揃ってます。ボイスは菜乃の声が鼻にかかったような感じなので違和感がありましたが、プレイするにしたがって妹味(いもうとあじ=造語)が出てきて、良かったです(笑)。
ハッピーエンド至上主義でなく、「切なさ」と「ひとかけらの奇跡」を味わいたい人に特にオススメの作品です。
[萌えキャラ]
・今井由紀(君がいれば暗い闇でも生きてゆける……) |