「問おう。貴方が私のマスターか――」
伝奇活劇ヴィジュアルノベル。その名に恥じず、次から次へと畳み込まれるように場面が展開され、続きを読まずにはおられない名作。ただし、独特の言い回しや世界観設定、用語が肌に合わなかったり、神話や宗教に造詣が深い人にとっては納得いかない場面もアリ。
とりあえず体験版をプレイしてみて、ドキドキワクワクした人なら買い。
システムは回想シーンがないことを除けば、ほぼ完璧です。Hシーンと各キャラENDの回想をセーブだけで見るのは、面倒臭かったですね。スキップは前作同様に楽ですが、場面ごとにあらすじ表記してあれば、なお良かったかなと思われました。
シナリオは「月姫」より読み進め易くなりました。偏にバトルを全面に押し出したためでしょう。そして、それは演出とともに成功しています。緻密な設定と伏線、構成はさすが。幾らか疑問点が残りますが、それを補い余って面白いです。
音楽は「月姫」同様、無音状態の長い箇所があったのが気になりました。加えて、「月姫」ほどは印象に残る曲がなかったのは残念。邪魔をしないのはもちろんですが、もう少し主張してもよろしいかと。戦闘などの効果音はGOODです。
絵はパターンが多いのは評価できるものの、立ち絵(藤ねえの横顔など)に違和感を覚えるものがありました。イベント絵・バトルシーンは文句なく、中にはシナリオとの相乗効果で涙が出そうになるものも……。塗りが以前と段違いですね。
キャラは脇役までも光っています。その魅力は文章では全て表現されてはいませんが、設定によるポテンシャルは計り知れないです。多くの創作がなされるのも納得。ファンディスクで補完するのを想定の範囲内としているのかも(笑)。
H度に関して、魔力補給という名目でのみ行為が行われるので、純粋なラブラブHというものはありませんが、シチュエーションと語りは良かったです。あと、シーンで流れる音楽も桃色な神秘性で◎。
平均プレイ時間が約60時間とのことで、時間的余裕があるならば是非プレイして欲しい作品。併せて「月姫」「空の境界」を知っていると、世界観の広がりを感じられますので、機会があればそちらもどうぞ。
[初回版同梱特典]
・Fate/side material
[燃え/萌えコンビ]
・アーチャー&凛(このコンビ、絵になりすぎ……) |